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研究行動規範委員会への要請書(西村)      2009.04.10
「鈴木教授の行為が改ざんを頂点とする一連の計画的犯行ではなく、単なる思い違いとするなら、その判断を含めて、双方の論拠を全部を公表してほしい」


                                2009年4月10日
                 要請書
                  
東京大学科学研究行動規範委員会
委員長 平 尾 公 彦  殿
                         所属  工学部
                          連絡先 Jimnishimura@aol.com
                          氏名  西村 肇

       委員長の問い合わせに回答する私の基本的立場
               
 3月31日付で, 私は委員長である貴方からe-mailをいただきました。そこで貴方は, 私が「改ざん」として告発した鈴木譲教授の行為は 「改ざん」という不正行為にはあたらないという委員会の結論を内示しながら, 私に対し、委員会立会いのもとでの鈴木教授との議論(非公開)を提案し、私の賛否を質問しておられます。

 この質問に回答するにあたり、明確にしていただきたいのは、一年前に私が行った鈴木教授の改ざん行為に関する 東京大学としての判定の回答と 鈴木教授との非公開議論との関係です。  これについては二つの可能性が考えられます。
一つは委員会の結論がすでに完全に固まっていて、公表を待つだけであり、鈴木教授と私の議論は結論には全く関係ない場合であり、
もう一つはまだ完全な結論には達しておらず、判断を進める材料として鈴木教授と私の議論を聴く必要がある場合です。
もし第2の場合でしたら喜んで対決的議論に応じますが、その場合は公開が条件です。もし第1の場合であれば、非公開で行うそのような議論は不必要と考えます。

委員長のe-mailのニュアンスからはすでに結論は確定していると感じます。仮に第2の場合としても鈴木教授が公開を拒否すれば、委員会は第1の立場に立つと思われます。 そこで私は委員会の立場がこの状態にあると想定し、委員会が次の措置を取ることを強く要請します。ここで私が委員会に対し、「要求」に近い意味で「要請」という言葉を使う理由は、私が東京大学の一教員によって改ざんされたデータに基づいて「水俣病の科学の誤り」という 論考を公表され、そのため深刻な迷惑を蒙った被害者だからです。

しかもそれは●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●、と判断せざるをえないことは、後でしめすとおりです。私の著書は、このような誹謗行為によって学問的に傷つくことはありませんが、一般社会は容易に影響を受けます。●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●を、明確なルール違反はないとして、曖昧な解決ですませようとする東京大学の姿勢に強い危惧を感じ、あえて強い言葉で次の要請=要求を行います。
       
            委員会への強い要請
要請 I 科学研究行動規範委員会としての結論とその理由を遅滞無く公表すること
要請 II その公表にあたっては以下の文書を同時公表すること
1.「鈴木教授の改ざん」についての西村肇の申立書
2.予備調査委員会の報告書(1009年1月13日)
3.それに対する西村肇の不服申立書(2009年1月22日)
4.科学研究行動規範委員会委員長からのe-mail(2009年3月31日)
5.それに対する回答と要請書(本状)(2009年4月10日)
要請 III 科学研究行動規範委員会の報告は、予備調査委員会の報告との重複をさけ、予備調査委員会では行わずそのために不服申立の主理由となった一点「鈴木教授の行為が単なる思い違いであったのか、意図的であったか」について説明を絞ること
具体的には、委員会が, 鈴木教授の行為は「改ざん」を頂点とする一連の計画的行為であったと疑わざるをえない諸事実にもかかわらず、「改ざん」の意図性を認めないとする根拠を、逐一説明すること。
要請 IV 手続上の理由をつけて、報告の公表を避けることはしないこと。そう主張する最大の理由は、わたしは鈴木教授がまったくの虚偽の論拠によって大いなる被害を受けた被害者だからです。私の名誉を回復する最善の方法は、委員会が「改ざん」を認め鈴木教授に「水俣病の科学の誤り」と題する報告の撤回を命ずることですが、そうする考えがないのであれば、以下に提出する諸事実 と 東京大学の判断の双方を広く公表し、あとは社会の判断にまかせるべきです。

    鈴木教授の行為が「改ざん」を頂点とする一連の
    計画的行為であったと疑わざるをえない諸事実

事実 I 水俣病フォーラムの展示で、主催者の要約で私の研究を知った鈴木教授が、感想を聞かれ、「メチル水銀がエラから取り込まれるとする『水俣病の科学』は、魚類学の専門家から見てまったくの間違い」という印象批評を公言し、話題になったのが、2005年であるが、同趣旨の論考を水産学会誌に投書として投稿するまで2年以上の期間がある。
事実 II この期間、鈴木教授は私の個人的討論(非公開)の提案も 公開の討論会の提案も無視または拒否した。批判論文と私の反論との同時掲載も拒否した。そして突然日本水産学会誌に「水俣病の科学の誤り」と題する「研究報告」を一方的に投稿した旨 通知があった。
事実 III 鈴木教授は水産学会誌に掲載「『水俣病の科学』の誤り」と題する論考で藤木教授が環境庁の依頼で行った試験研究の報告書を典拠として利用しているが、これは行政目的の報告書であって環境庁でも未だ非公開であり、非正規コピーを保有する一館を除いて一般図書館、大学図書館でも決して見られない文献である。
事実 IV この報告書の利用の仕方に次のような許しがたい歪曲引用がある。
1 この報告の結論は「食物連鎖よりも(えらを含む)体表面からの吸収による蓄積が主体である」と明確に鈴木教授の主張を否定しているものなのに、この結論を一切引用せず、自説を支持する研究として藤木報告を引用した。
2 結論を引用しないまでも、実験結果の表あるいは図を引用すればエサからに比してエラからの摂取がはるかに大きいことは一目瞭然なのに、結果を示す図表の引用を一切しなかった。
3 図表を引用するかわりに実験結果の数値で引用したが、この際エラからの吸収によるメチル水銀濃度の上昇を藤木の図表に示されている値の100分の1に改ざんした。
4 異常1、2、3の行為はそれ自体研究倫理に大きく違反しており、なんらかの処罰の対象と思われるが、もしこれが藤木報告書を直接に閲覧することはほとんど不可能という事情を知りつつ行ったとすれば重大である。私は鈴木教授に藤木報告のコピーを要求した時の会話から、鈴木教授は閲覧困難ということを十分知っていたはずと推定する。教授が私に電話で伝えた内容は「この文献は東大にはない。私は水俣の住民の人からそれをもらった。汚れたコピーだがそれでよければ送る」だからである。
事実V 2007 年9月 鈴木教授の投書が水産学会誌に発表されると、ただちに二つの重要な社会的反響を引き起こした。
 
1 2007年12月、毎日新聞社に対し、学会誌に出た鈴木論文を理由に「水俣病の科学 」への「毎日出版文化賞受賞は不当である」という趣旨の強硬な申し入れが、一人の水俣病研究者からなされました。
2 2008年2月、もう一人の水俣病研究者から、日本評論社に対し、「水俣病の科学」に致命的欠陥があることを裏付ける資料(2点)がみつかったので、出版社としてしかるべき措置を取るよう強硬な申し入れがあった。その内の1点が 鈴木教授の投稿論文であった。

                                   ( 終了 )

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